習慣化の効果は継続力の向上だけじゃない?【脳科学の研究をベースに解説】

今回は、「習慣化ってそもそも何?」「どんな効果があるの?」というテーマの知識を科学的に解説していきます。

習慣化について理解を深めることで、習慣化の指針を手に入れる事ができます
漠然とした『続けるイメージ』が、鮮明なイメージに変化します。

是非、習慣化の指針を手に入れてください。
※実践的な内容ではなく、考え方を軸とした内容になっていますのでご留意ください。

習慣化とは

まず、習慣化している時に脳がどうなっている状態なのかを見ることで理解を深めていきたいと思います。

習慣化ている時の脳の状態

マサチューセッツ工科大学のAnn M. Graybielとダートマス大学の心理学・脳科学科の助教授Kyle S. Smithが習慣化が脳に及ぼす影響を調べる実験を行いました。

実験ではラットに習慣を定着させました。

【実験内容_詳細】
ラットにT字形の迷路を走るという課題を与えます。
T字の下端からスタートしたラットは走行途中で指示音を聞いてもらいます。
その指示音を頼りに左右どちらかに曲がり、報酬(砂糖水など)を目指して走ります。

これを繰り返し行いラットに習慣を定着させました。
その習慣の強さは強力で、報酬を有害な物に変えても継続するほどです。

 

この実験では、ラットの線条体にあるニューロンの電気的活動を記録していきます。
※線条体とは、運動機能に関与することで知られており、意思決定(依存や快楽)にも関わる脳の部位です。

習慣化しているかどうかを調べるのに適している脳の部位だと言えます。

実験結果では、ラットが最初に迷路を学習している時、線条体にある運動制御ニューロンは継続して活動していました。

しかし行動が習慣化するにつれて運動制御ニューロンは走行の始まりと終わりに活動して、その間のほとんどの時間は活動しなくなりました。

※運動制御ニューロンとは、生物の運動を調整することで知られているニューロンです。

つまり習慣化すると、運動制御ニューロンは習慣の始まりと終わりに活動するようになり、活動の最中はあまり働かなくなるということになります。

自転車を初めて乗った時は、初めから終わりまで神経を集中させて乗っていました。

今では無意識に自転車に乗っていられます。

習慣化したおかげで、乗車中は運動制御ニューロンの活動が低下しているのでしょう。

 

では、「運動制御ニューロンの活動が低下すると作業中の脳の働きが下がるから、記憶力や集中力も下がるの?」という疑問も出てくるかもしれません。

運動を制御する脳の部位と記憶力や集中力を制御する脳の部位は違う箇所にあるのでそんなことはないと思います。

運動制御ニューロンの低下というのは、作業自体の負荷が下がったり自動的に出来るようなイメージになりますので、むしろ記憶力や集中力に脳の力を回せるはずです。

読書で言うと、本をめくったり、目で追ったりする作業に負担は感じなくなる分、理解や記憶に脳の力を回せると言うことになります。

つまり習慣化すると、運動エネルギーが減るので違う事に頭のエネルギーを使えるという事です。

今回はラットを使った実験でしたが、
次はネイマールが参加してくれた面白い実験があるのでもう暫くお付き合いください。

習慣化すると運動制御ニューロンは習慣の始まりと終わりに活動して、活動の最中はあまり働かなくなる

ネイマールの頭の中

脳情報通信融合研究センター(CiNet)が足関節の運動における ネイマールを初めとしたプロサッカー選手の脳活動の特徴を明らかにすることを目的に実験を行いました。

対象はネイマール、3名のプロサッカー選手、2名のオリンピック代表候補の水泳選手、1名のアマチュアサッカー選手の合計男性7名です。

実験では7名の選手が足を動かした際の運動野足領域の活動量を計測しました。
※運動野足領域とは運動指令を出力して筋肉を制御する第一運動野の中でも特に、足の制御に関する部位であると考えられています。

【実験内容_詳細】
7名の選手にMRIの中で寝てもらい、右足首を左右に旋回してもらいます。
計8回で1試行とし、15秒の間を経て、計2回の試行をします。
その時の運動野足領域の活動量を比較しました。

 

出典元:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25136312/#&gid=article-figures&pid=figure-1-uid-0

 

図のAを見てみると、ネイマール(Neymar)の運動野足領域の活動が他の選手と比較して少ないことが分かります。

図のBを見てみると、ネイマールはアマチュアの人に比べて運動野足領域の活動が10倍以上少ない事が分かります。

定着することで運動中の脳のエネルギーが少なくなる事が人間でも証明されているのです。

ネイマールの素晴らしいパフォーマンスは動きに対する脳のエネルギーが節約できているおかげで、戦略やフェイント、相手の動きへの対応などに脳のエネルギーを割けているからだとも考えられます。

これら二つの実験から、習慣化とは自動化(無意識化)していくことであると理解していただけたと思います。

・足を旋回することに関して、ネイマールはアマチュア選手に比べて運動野足領域の活動が10倍以上少ない
・習慣化とは自動化(無意識化)していくこと

習慣化のメリット

意識のスリム化

習慣化の最大のメリットは意識のスリム化です。

現代社会では日々意識の消耗が激しくなってきています。様々な人間とコミニケーションをとり、大量の情報を判断しなければなりません。

オバマ大統領は禁煙ができなかったといいます。セルフコントロール能力に長けているはずの大統領が禁煙をできなかった理由は毎日の激務で意識の消耗が激しく、禁煙に意識を持っていく事が出来なかったからとも考えられます。

意識というのは擦り減っていくのです。

ラット・ネイマールの実験からも分かる通り、自動化することによって脳のエネルギー消費が少なくなるので意識の消耗が少なくなると考えられます。

負担になる作業や、毎日やりたい事を習慣化して意識の消耗を減らしていきます。そうする事で、意識のスリム化ができます。

意識のスリム化をすることで余った意識を創造性が必要な時間や大事な人間関係に投資できるようにしましょう
これが習慣化の最大のメリットです。

迷い・心配事でも、意識を消耗してしまうパターンもあります。

「勉強をする予定だったが、タイミングが微妙なのでやるか迷っている」
「朝ランニングすることに決めたが、早起きできなくて落ち込む」
「LINEの返信が来なくて気になる」
「夕飯は何を食べるか迷っている」
「支払い期限が心配」
「上司がムカつく」
これらの迷い・心配事があるせいで一つのことに集中できないということも多いかと思います。

これらの事も対策をして習慣化することで、意識の消耗を少なくできます。

迷いを事前に対策しておく仕組みや、シングルタスクを徹底するための仕組みや、ムカつくことに冷静に対応する思考習慣を身につければ意識の消耗は少なくなります。


※そういったテクニックも今後紹介していきます

意識のスリム化が出来れば、余った意識を創造性が必要な時間や大事な人間関係に投資できる

自動化で自然と継続

習慣化する事で継続の恩恵を受けれるようになります。

習慣化すると無意識に体が動くようになるので、勝手に継続するようになるのです。

今やりたいことの自動化に成功して、何十年も自動的にやっている自分をイメージしてみてください。

効果は絶大です。一時的な効果で得られるものより、習慣化ははるかに大きな効果を与えます。

毎日ランニングをする習慣が身についていたら、肥満の心配なんてほとんどありません。

毎日1時間の読書習慣がついたら、知識の量が増えて選択できる幅も広がっていきます。

習慣が身につく事で負担をかけずにやりたいことを継続できるようになります。

習慣化することで続けることへの負担が少なくなる

まとめ

習慣化とは、自動化のことであり意識の消耗を少なくすることである。

習慣化の二つの効果

1:意識のスリム化を行い、余った意識を創造性が必要な時間や大事な人間関係に投資する事ができる

2:脳への負担も減るので自動的に継続できるようになる

 

いかがだったでしょうか?
「習慣化って興味深いな」と思っていただけると幸いです。

 


 
当サイトでは参考資料および、動画を元に考察して記事を制作しております。 弁護士指導の元、原著作物の表現に対する複製・翻案とはならないよう構成しております。 しかしながら、もし行き届かない点があり、記事の取り下げなどご希望される著作権者の方は、お手数お掛けしまして恐れ入りますが、下記のメールアドレスにご連絡いただけますと幸いです。 Mail:info@haihai-corp.jp
【ライタープロフィール】 習慣化ラボ編集部
習慣化に役立つ知識をお届けします。 一つでも実践できる知識がありましたら幸いです。

【習慣化マニュアル大全:無料PDF配布】

「分かっているけど続かない」

そんな悩みを解決する習慣化の秘訣が詰まったPDFを無料配布中!

無料PDFを受け取る